「はい、笑って~」「こっち向いて~、そのまま~」
という感じの写真は少し苦手です。
派手に着飾らなくってもいいんです。
人見知りでも、恥ずかしがりやでもいいんです。
カメラ目線もポーズもいりません。
無理に笑わせるためのアクションもいりません。
子供は常に笑ったり泣いたりしている訳ではありません。
むしろなんでもない表情の方が多いはずです。
毎日の幸せの中の ありのままの表情は、それだけで十分で美しいものです。
そこにスタジオの光と空間や小物をちょっと加えて絵にします。
一軒家スタジオを貸切ってゆったりとした時間の中で、自由に遊びながら、
できるだけ制約や決まった型がないように写真に収めます。
何十年後かに、子供たちが大きくなって本当に大切にする写真は、
自分だけが映っているものではなく、家族が一緒に笑っている写真のはずです。
リラックスして楽んでいる子供。
一緒に遊ぶお父さん。優しく見つめるお母さん。
その時どんな表情で、どんな気持ちで見守ってくれていたのか。
大きくなった子供が「こんなに愛されて育てられたんだ」と感じることのできる写真。
その写真は、きっとその子にとって大きな力、支えになります。
時がたって、改めてそういう「家族のつながり」を伝えられれば。
そんな想いでファインダーを覗き、シャッターを押します。